戦国策 韓(かん)編 義理と人情 2018年10月04日 戦国策 0 刺客 聶政(じょうせい)とその姉 韓の丞相・韓塊(かんかい)に恨みに思った厳遂(げんすい) が復讐の為、仲間探しで、訪ねた勇士・聶政とその姉のお話 厳遂は、まっすぐな性格で自分が正しいと思うことに 立場や肩書を問わず直言する人物であった。 ある時、そんな厳遂を恨みに思った、韓塊は、朝廷の場で厳遂を 罵った。 カッとなった厳遂は剣を抜き切りかかろうとした。 仲裁が入りその場は収まったが、無意味な死を恐れ逃亡した。 そして、韓塊に復讐の為、各国を巡り、傍若無人な振る舞いを する韓塊を殺すため仲間を探した。 斉の酒場であるうわさを聞いた。 「ここのスラムに聶政という勇士がいる。母を安んじ仇を 避けているなかなかの人物だ。」 さっそく聶政を訪ねると真心を込めて交際した。 (大臣である、厳遂殿がなぜこのような貧乏出の 私にこのような待遇をなさるのだ…。) 不安に駆られた聶政は、厳遂に改まり訪ねた。 「わたくしに何をやらせようというのだ?」 「いやいや、お付き合い願ってから日が浅い。 いかに急を要した事案であっても、まだお頼みできません。」 ある時は、聶政の母に長寿の祝いと称し酒を進め、 またある時は生活の足しに母上への孝行にと 金子100両を献上しようとした。 あまりの気遣いように聶政は驚き怪しんで固く辞退した。 「私は、生まれが貧しく生国では生活に困り他国に来て ようやく仕事に就き、母を養っております。 貴方様からこのような大金頂くいわれなど御座いません。」 厳遂は、あたりに人目がないのを確認すると仇の事を 聶政に打ち明けた。 「このような生活に甘んじているのは ただただ母を安んじたいがためです。母が健在のうちは この体はここを離れるわけには参りません。」 何度進めても聶政はうけとらない。丁重に挨拶をして 厳遂は立ち去った。 月日が流れやがて母を亡くした聶政は弔いと喪が明けて 思った。 (私、聶政は、しがない人間であるにもかかわらず 大臣殿はまるで国賓のごとき対応をなさった。 このままではたしてよいのか…。) 恩を感じた聶政は、厳遂を訪ねて仇の助太刀を買って出た。 ばれてはまずいと助勢をことわり一人で韓にむかった。 たまたま韓は秦との会談中であった。そこに護衛の兵が おびただしい数いたが臆せず整然と韓塊のところまで 近づくと剣を抜き一気に刺し殺した。 驚き兵士が向かってくるも一人で数十人を切り捨て 持った剣で顔の面を剥ぎ、目をえぐりだし、腹を きって、腸を引きちぎって死んだ。 韓では名前を知ろうとして街中を引き回した。 聶政の姉は「あれは聶政…まさか私のことを考え あのような死に方を…名前を知らしめねば弟は無駄死に だわ……。」 そう思った聶政の姉は聶政の死体に駆け寄り一しきり泣くと 「この子の名前は我が弟、シの深井里(しんせいり) 出身の聶政よ!!」 と町中に響く大声で一喝すると、弟の傍で自害した。 「聶政の立派なものだが、その姉もたいした人物だ。」 他国にこの話は風のごとき速さで広がった。 自分の仇ではない人物の仇討しかも一国の丞相をたった 一人でしかも後に残る姉のことも気にかけた対応とは 久々に鳥肌が立ちました。 現代で仇討などは犯罪ですが「義理と人情」とは こういう話をいうのでしょうか? [0回]PR